今回紹介するのは、児玉光雄さんの書かれた、「実は180度違う一流テニス選手の思考」です。
児玉さんの本は、以前「なぜテニスは練習しても上手くならないのか」という本を読んだことがあり、大変わかりやすく記憶に残っており、実際テニス上達に関わっていたと思っていたので、今回も読んでみました。
|
著者の児玉光雄さんは、1947年生まれで、大学の客員教授や元鹿屋体育大学の教授、テニス部顧問をされており、自身も全日本選手権への出場経験やプロ選手のコーチを務めた経歴のある方です。著書も数多く出版されています。
内容としては、大枠が「なぜテニスは練習しても上手くならないのか」と類似していましたが、その中で気になった点のみ抜粋します。
早速本書の内容について、ピックアップします。
○「テニスの主役は、ボール」
僕もそうでしたが、テニスの主役は、プレーヤー自身だと思っていました。自分がいかに気持ちよく、またかっこよく打ててる姿なのかが大事だと思い、日々自分のフォームを変えたり、それでうまくいかず、また変えたりと繰り返していました。
ボールとラケットのガットが触れる時間0.003秒ほど。その時間が、どう影響するか、面がどう向いているかをボールが教えてくれます。
ロジャーフェデラー選手はボールとラケットが触れる瞬間まで、スローやコマどりの連続写をも見るとはっきりわかります。
一方で私たちは、ボールがラケットに触れる瞬間は、現実問題目で追えないとしても、打つ位置の1mほど先に視線をやっていることが大変多いのです。ボールを最後まで追う、これは一球一球に、どう向かって来ているボールなのかを把握し、その後の打球感覚でどう飛んで言ったかを把握する際に、必ず必要な集中です。感覚からして、そこまでをしなくても、ラケットのどこに当たったのかは意外と簡単にわかります。また、相手の打ち方、相手のインパクトの打球音、来る途中までの軌道からもバウンド後の位置を考えることはできます。外界の情報と、自分の体の動きをどう適合させるか、ということが一球一球に求められるのですね。著者が何度も言うのは、このインパクトの一瞬、主役であるボールに意識を持ち、自分が打ちたい軌道を意識してどれだけ確かに自分の打ちたいボール軌道で、インパクトで打てていることを繰り返すことが重要と言うことです。
ある程度のレベルにくれば、フォームにはそれぞれの人にあったものが身についてきます。それがその人にとっていいのかはまた別の機会に、4スタンス理論等から話ができればと思います。
○ポイント全体の8割が4ラリー以下
僕もそうですが、どうしても理想の攻撃してウィナーで得点するテニスを意識して上達しようとします。しかし、テニスのほとんどは、どちらかのミスによるとくてんです。またラリーもプロの試合においても、ポイントが決まるのは4ラリー以下が全体の8割というデータがあります。一般プレーヤーの草トーなどでは、それはさらに顕著に、ラリー数は短くなるでしょう。ここから意識すべきは、相手に一回でも多く、返すこと、重要な場面で、手堅くポイントが欲しいというところ、そここそラリーを続けようと言うことです。具体的には、クロスに返します。クロスに返す際は、相手コートのどこまで狙うと言うよりも、まずはネットの中央を通して返すことです。そこから、相手のボールが浅くきたら、ダウンザラインなどの攻撃を仕掛けるのです。
ネット中央を通すメリットは、付け加えて、ネットの高さはセンターは91.4センチ ポールは106.7センチということからも、ネットにかかるリスクが低く、サイドアウトするリスクも、距離として斜めに長くなるためロングアウトするリスクも低いことが言えます。
○イメージトレーニングがテニスを進化させる
ゴルフのスイングを見て、その物理原則的な仕組みを丁寧に解説された少年が、その動画を見て自分が動いて再現しているイメージを繰り返すだけで、実際にコースを回った際にも驚くほどのパフォーマンスで回れたという事例を紹介されています。
人には、もともとミラーニューロンという遺伝子があり、人の成長は、他者の動きを真似ることからスタートし、それを自分が経験していることのように感じることができるという性質を持っています。
運動の原理を理解することは必要ですが、人はYoutubeでプロ選手の動きを見るだけでも、練習になるのです。
○メモをバッグに忍ばせる
勝つためのゲームプラン、心持ち、ポジティブな言葉は、チェンジコートや試合の直前などに見返せるように、メモしておき、いつでも見返せるようにします。
・ゲームプラン 以下例
ex 相手のフォアバック、前後左右苦手なところを早いうちに見つけ、集中して責める。
欲しいポイントでは、ネット中央を通す。
自分の得意なサーブで、リズムを掴む。
・心持ち 以下例
結果はどうであれベストを尽くそう
自分のプレーパターンを貫こう
ファーストサーブを必ず入れよう
目の前のボールに集中しよう
足をもっと動かそう
・ポイント間 以下例
大きく深呼吸
ガットの一点を5秒見つめる
ボールをラケットでつく
常に自信のある表情をする
・ポジティブなセルフトーク言葉
私はテニスに向いている
私は日々確実に進化している
私は高い目標に向かって全力を尽くしている
私はいつも自信満々だ
私はプレッシャーを楽しんでいる
私はプロセス思考に徹することができる
私は勝負に徹することができる
私は目の前のポイントに集中することができる
私は常にゲームを楽しめる
どんな状況でも私はベストを尽くす
どんな状況でも笑顔を絶やさない
○8割のプレーヤーはフォアハンドが得意
バックハンドの苦手意識は、フォアに比べて振り遅れが多いからです。フォアの場合、相手に横を向いて構えた際、右腕は後ろ側になるため、融通を聞かせて打点の遅れも生じなくなります。振り遅れを防ぐには、まずテイクバックを早く取ることです。バックで打つことを決めると同時に、素早くていくバックを取ることで、振り遅れを防ぎ、バックハンドの苦手意識も減らすことができます。そして、振り遅れさえなければ、バックハンドは体の開きや可動域が、両手で持つことによって抑えられるため、本来面は安定するものです。